松葉杖の合わせ方
長さの決め方
①脇の前面から床までの長さに5cm加える
②脇の前面から小指の外15cm,前15cmのポイントまでの長さ
③簡易的な方法として、一般成人では(身長−41cm)で対応できる
握りの高さの決め方
①肘を軽く曲げた(30°)状態で握りやすい高さ
②脚の付け根(股関節)の高さ
その他のPOINT 注意事項
・脇の下の1番深い所に体重をかけないようにする。脇の下には腋窩神経が走っており、圧迫すると腋窩神経障害が出現する危険性がある。その為、体重をかけるのは脇から2~3横指下の部分に体重をかけるようにする。
・履物は履いた状態で測定するのが望ましい。
・背中が丸くなっている方、装具・ギブスなどをしている場合は安易に(身長−41cm)で決めることは避ける。
松葉杖の使い方
・松葉杖の使い方は、病態の悪化を防ぎ治癒過程をスムーズに進めるためにとても重要になってきます。
・その疾患、その人にあった方法を病院側からしっかり教えて貰い、方法を守って歩行を行うようにして下さい。
以下の3つは一側下肢の整形疾患で多く指導させる方法で本院でも推奨している松葉杖の使い方となります。
3点歩行(3 point gait)
一側の脚の障害で用いられる方法で、臨床上もっとも多い。
a) 免荷3点歩行(non-weight bearing 3 point gait)
両側松葉杖を同時に出す→健側の脚を前方に出す。患側で全く支持しない。
b) 部分負荷3点歩行(partial weight bearing 3 point gait)
患側と松葉杖を同時に前方につく。この時、患側の脚も部分的に荷重する→健側を前方に出す荷重する場所はつま先型・踵型・足底型の3つの種類がある。
c) 負荷3点歩行(weight bearing 3 point gait)
患側の脚と両松葉杖を同時に前方につく。この時、患側の脚に全荷重する→健側の脚を前方に出す。
※どの程度、患側の脚に体重を乗せていくかは、病状によって変わります。スムーズな治癒のためには医師の指示を守って体重を乗せて下さい。
揺り椅子歩行(rocking chair gait)
両側の松葉杖に前方に出し、重心を松葉杖にかけ、一側の脚を引きずる様に松葉杖に近づける。次に他側の脚も同じように引きずる。これを繰り返し前に進む。
片松葉杖歩行
患側の脚と松葉杖を同時に出し、患側の脚への荷重量を減らす歩行する。患側の脚の治癒が進んでくる中で松葉杖が2本から1本に移行するケースがある
以下の4つの松葉杖歩行は両側下肢に問題がある方に多く指導させる方法で、多様される方法ではありませんが疾患やその方に合わせてお教えすることがあります。
2点交互歩行(2 point alternate crutch gait)
左側松葉杖と右脚→右側松葉杖と左脚を同時に交互に出す。
ある程度のスピードが得られるが、2点だけで交互に支持するので安定性に欠ける。
4点交互歩行(4 point alternate crutch gait)
一方の松葉杖(左)→他方の脚(右)→同方の松葉杖(右)→他方の脚(左)
左右どちらからでも構わないが、松葉杖を先行させた方が体重移動がスムーズに運び、安定した歩行が可能である。
松葉杖と脚を1動作ずつ行う歩行で、常に3点で支持されており安定性があるが、スピードは遅い。
大振り歩行(swing through crutch gait)
両松葉杖を同時に前方に出す→両脚を同時に松葉杖をついている点より前方に降り出す。
脊髄損傷などの両下肢障害の場合に指導する。スピードも得られる歩行である。
小振り歩行(swing to crutch gait)
松葉杖を同時に前方に出す→両脚を同時に松葉杖をついている点の手前まで振り出す。脊髄損傷などの両下肢障害の場合に指導する。骨盤挙上筋が残存していれば可能となる歩行で、スピードはないが安定性が高い。
松葉杖での階段昇降
階段の昇り方(2本松葉杖)
健側の脚を上げる→両松葉杖と患側の脚を上げる。
階段の昇り方(1本松葉杖)
健側の脚を上げる→松葉杖と患側の脚を上げる。
階段の降り方(2本松葉杖)
両松葉杖と患側の脚を降ろす→健側の脚を降ろす。
階段の降り方(1本松葉杖)
松葉杖と患側の脚を降ろす→健側の脚を降ろす。
階段昇降時の注意点
段差昇降時は上の段に杖がくることが無いようにする。上の段に杖がくると脇が突き上げられてバランスを崩す要因になる。